社団法人日本将棋連盟 羽生善治 将棋で鍛える『決断力』DS

小学校1年生のときに将棋に出会った羽生少年は、
小学生名人となり、やがて最強のプロ棋士へと成長する。
この間、羽生善治の脳に何が起きたのだろうか。
将棋が脳に与えるすばらしい影響と、
将棋の魅力について、脳科学者の茂木健一郎が解き明かす。

頭の中に将棋盤ができて自由に駒が動かせる!

[茂木]みなさん、こんにちは。今日は羽生さんと私とで、将棋が脳を育てるということについて、お話したいと思います。さて、こちらの羽生さんですが、じつはすごく変わった人なんです。車の運転ができません。

[子どもたち]エーッ。

[茂木]運転しているとき将棋のことを考えると頭の中に将棋盤ができて駒が動きはじめる。それで危ないから運転はしないんだって。
頭の中だけでも将棋ができる、すごい人なんです。羽生さん、小学生のときって、どんな子どもでしたか?

[羽生]ごく普通の小学生でした。1年生のときに将棋に出会ったのですが特別に習おうとしたわけではなく、友だちと回り将棋とか挟み将棋をして遊びながら覚えました。

[茂木]それから、プロになり、いくつものタイトルを獲り、名人にまでなるというのは、たいへんな道のりだったと思いますが、どうやって強くなっていったんですか?

[羽生]ルールと基本的なことを覚えたら、とにかくたくさん指しました。何百回も対局し、実戦の中で覚えたり学んだりして、いつのまにか上達していたんだと思います。子どものときは、あまり深く考えないで、たくさん指して体で覚えていくのがよいと思います。

[茂木]羽生さんが将棋をなさるときと、みんながするときでは、ちがうところがあります。感想戦って知っている人。…あまりいませんね。みんなは勝負がつくと、すぐに次に入るでしょう。羽生さんは、対局後もう一回最初から最後まで再現します。ここがよくて、ここはだめとか。

[羽生]その一局のストーリーがどうであったかを自分なりにちゃんと消化するために感想戦をしています。

[茂木]自分が指した一局を再現できるようになったのは、何歳ぐらいからですか?

[羽生]二、三年生の頃です。じつは難しいと思うからできないのであって簡単だと思えば、できるものなんです。

[茂木]だれでもできると思いますか?

[羽生]ええ、できます。コツがありまして、例えば、歌なら最初のメロディと歌詞が出てくれば、次が出てくる。または、サビのところを思い出せば、全体もよみがえってくる、という感じです。

[茂木]みんな、歌でもここは覚えているってところがあるでしょう。将棋の一局にも、そういうポイントがあるってこと。

[羽生]将棋も一つの物語みたいなものですので、その一局の筋書きを覚えていれば、再現もできるようになります。

[茂木]君たちの脳って、すごく伸びる力があるんだ。でも、君たちは、これぐらいしかできないって、勝手に思っているわけ。もう一度思い出して再現してみようと、本当に思ったら、きっとできるようになるはずだよ。羽生さん、小学校のときに、将棋をやっていてよかったと思うことはありますか?

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2009年12月14日に足立区竹の塚小学校で行われた羽生善治氏と茂木健一郎氏による特別対談授業を再構成しました。

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