社団法人日本将棋連盟 羽生善治 将棋で鍛える『決断力』DS

小学校1年生のときに将棋に出会った羽生少年は、
小学生名人となり、やがて最強のプロ棋士へと成長する。
この間、羽生善治の脳に何が起きたのだろうか。
将棋が脳に与えるすばらしい影響と、
将棋の魅力について、脳科学者の茂木健一郎が解き明かす。

羽生さんは1000手先まで読んでいる

今回特別授業に参加した児童たち。羽生さんと茂木さんのトークを興味深そうに聴いていた。
今回特別授業に参加した児童たち。羽生さんと茂木さんのトークを興味深そうに聴いていた。
[羽生]一つの変化だけを読むなら、10手とか15手ですが、枝分かれするので、100手とか1000手とかの単位になります。

[茂木]みんな、羽生さんが恐ろしいことを言っていますよ。君たちが将棋を指すときって、自分がこう指す、すると相手がこう指す、次に自分はこう指すって、何手先まで読める?羽生さんは1000手ぐらい読んじゃうんだって!

[子どもたち]エーッ!

[茂木]羽生さん、どうしてそんなことができるんですか?

[羽生]時間をかければできますよ。一つの手を考えるのに、1秒ぐらいはかかっているはずですから、それを30分とか、1時間とか、長い時間をかけて読んでいきます。

[茂木]みんな、まるで珍しい生き物でも見ているような顔で、羽生さんを見ないように!子どものときって何も考えないでなんとなく指す場合があると思うんですが、それはよくないのですか?

[羽生]一手指すということは、この手はやってはいけないとか、この手は可能性がないとか、本当は瞬時にたくさんのことを考えているんです。

[茂木]直感ですね。

[羽生]ぱっと見て、これはいけるとか、これはだめだって思えるのも、すごく大事な要素です。

[茂木]ここに、将棋のプロ棋士161人へのアンケート結果があります。「将棋を始めて変わったことは何ですか?」という問いに、95人のプロが「一つのことを集中して考えられるようになった」と答えています。みんなの中で、私は集中力がなくて困っているという人、手を挙げて。

[子どもたち]は〜い。

[茂木]よ〜し、君たち全員、明日から将棋をやるように!アンケートで、次に多かったのが「勝負のきびしさを知ることができた」。君たちも、負けたら悔しいでしょ。

[子どもたち]はい。

[羽生]いつかは、勝負のきびしさを知らなければいけないし、自分の実力をちゃんと認識するというのも大事なことです。

[茂木]みんな、羽生さんは、とてもクールに見えるけど、じつはものすごく激しい、火山みたいな人なんだ。さて、問題です。いよいよこの一手で自分が勝つと思ったとき、羽生さんにあることが起こります。それは何でしょう。

[子どもたち]王手!

[茂木]王手が起こる?違うよ。正解は駒を持つ手が震える、です。それぐらい将棋に集中し、勝敗にこだわる、ものすごく熱い人なんです。どんな子どもにも勝ちたいという気持ちがあると思うんですが、絶対に勝とうと思って努力するためには、何が必要なんでしょうか?




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2009年12月14日に足立区竹の塚小学校で行われた羽生善治氏と茂木健一郎氏による特別対談授業を再構成しました。

このサイトは社団法人日本将棋連盟発行小冊子「将棋は脳を育てる」の内容をホームページ化したもので、
より多くの方にご覧いただくことを目的に公開されています。