社団法人日本将棋連盟 羽生善治 将棋で鍛える『決断力』DS

小学校1年生のときに将棋に出会った羽生少年は、
小学生名人となり、やがて最強のプロ棋士へと成長する。
この間、羽生善治の脳に何が起きたのだろうか。
将棋が脳に与えるすばらしい影響と、
将棋の魅力について、脳科学者の茂木健一郎が解き明かす。

小学生は感覚的に覚えるチャンス

対談の最後には、竹の塚小ちびっ子王将戦優勝者の杉浦君が、羽生さんと対戦するというサプライズも!
対談の最後には、竹の塚小ちびっ子王将戦優勝者の杉浦君が、羽生さんと対戦するというサプライズも!
[茂木]ところで、僕の子どもは小学校4年生なんですが、家の近くの将棋教室に通っています。その息子に、つい二日前、僕は将棋で負けてしまいました。

[子どもたち]エーッ!

[羽生]小さいときは、進歩が速いですから。

[茂木]1年前まではぜんぜんだめだったの。ところが、2週間に1回、2時間だけ将棋教室に行くようになったら、訳の分からないことを言い出すの。金底の歩がどうだとか。それで一昨日戦っていたら、どんどん銀が出てくる。棒銀っていう戦法なんだけど、1年前はそんなことはしないかわいい子だったのに、銀が攻めてきて、こてんぱんに負けちゃった。小学校の間って、本当に伸びる時期なんですね。

[羽生]たくさんのことを覚えられるということもありますが、こういうのがいい形だとか、悪い形だとかっていう、感覚的なことを、すごいスピードで身につけることができます。

[茂木]君たち、感覚って分かる?ピカチュウとライチュウどっちが好きとか、そういうのと同じだよ。君たちが将棋で努力すれば、この駒の並び方はいい形だけど、こっちは悪い形というのが、ピカチュウのほうが好きっていうのと同じような感じで分かるようになるんだって。

[羽生]そういうのをたくさん知っていくことが上達するということです。

[茂木]僕は小学校5年生のとき、蝶の研究をしていて、九州大学の白水隆先生っていう偉い先生に会いに行って、20分だけ会ってもらったの。そこで、まだどこにも発表されていない、蝶の新種を見せてもらいました。僕は今47歳ですけど、そのたった20分のことを、今も覚えています。だから、今日、羽生さんが来て、髪の毛がモジャモジャの変な人も来て、話をしたこと、覚えていてね。見かけばかりにとらわれる人が多いけど、本当は見えないものが大事だよって、羽生さんが教えてくれました。考えることとか、感じることとか。将棋は、そういうことを学ぶためのすばらしい教材です。羽生さん、最後に将棋について、言っておきたいことは?

[羽生]将棋は世代を超えて楽しめます。ルールさえ覚えれば、おじいちゃんとお孫さんが対局することもできます。また、スポーツと違って、高齢になったらできなくなるということもありません。ちょっと時間があって、将棋盤と駒があれば、どこででも、だれとでも楽しめますし、人と人とのつながりが広がっていきます。

[茂木]人間の脳がなぜすばらしいかというと、いつまでも子どもの頃の気持ちを失わないからなんです。だからね、後ろにいる君たちのお父さんやお母さんや先生方には、君たちみたいな気持ちがあります。羽生さんは、今、39歳だけど、ある意味では小学生みたいです。将棋で勝ちたいとか、負けたら悔しいとか、勝ちそうになると手が震えるとか。どうして羽生さんは子どものような気持ちをたくさん残しているかというと、将棋があったからなんです。君たち、覚えておいてほしい。子どものときの感動とか、いろんなことに興味を持つ気持ちを。それらを絶対に忘れないで大人になってね。羽生さんと対談させていただき、僕も今日、あらためてそういうことを思い出しました。今日はどうもありがとうね。

(写真の説明)

対談の最後には、竹の塚小ちびっ子王将戦優勝者の杉浦君が、羽生さんと対戦するというサプライズも!。

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2009年12月14日に足立区竹の塚小学校で行われた羽生善治氏と茂木健一郎氏による特別対談授業を再構成しました。

このサイトは社団法人日本将棋連盟発行小冊子「将棋は脳を育てる」の内容をホームページ化したもので、
より多くの方にご覧いただくことを目的に公開されています。