一生に一度の自転車デビューは、子どものレジリエンスや愛着形成を育むかけがえのない体験になるのではないでしょうか。今回の記事では専門家を迎え子どものレジリエンスについて詳しく話を聞きました。また後半には自転車デビューの正しい進め方についてご紹介します。
藤野智哉先生
精神科専門医。1991年7月8日生まれ。 秋田大学医学部卒業。 精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神科病院勤務の傍ら医療刑務所の医師や看護学校の非常勤講師などとしても務める。
目次
レジリエンスを育むために親ができること
――予測不能なこれからの時代、子どもの自主性やチャレンジする力、レジリエンスなどが求められています。改めてレジリエンスとはどのような力のことなのでしょうか。
藤野先生:
「レジリエンス」という言葉は元々「変形したものが元に戻る力」「復元力や弾性力」のことをいいます。それが近年、ストレスを受けたときに折れずに戻っていくような力として注目されています。「適応力」や「生きていく力」として使われることも多いです。
メンタルを鍛えるとか強くすることとレジリエンスは、少し違った観点です。同じ刺激があったときに、それに抵抗するだけではなく「受け流して、しなって戻る」回復力もレジリエンスで、よく木に例えられます。
レジリエンスに親がどう関わるのか、それはその木をどう育てていくかということ。もう少し広い意味でレジリエンスを包括的に強くするためには、木が倒れないようにすることやそのために柵を立てること、一緒に並んで一緒に風を受けるというように、親が一緒に体験することが大切です。初めての自転車に関しても、まずは親が実際に見せてあげて関わりながら学ぶことが一番かなって思います。
一生に一度の自転車デビューは絶好のチャンス
――4、5歳の子どもにとって自転車に乗ることは大きなチャレンジですが、このチャレンジする気持ちを醸成したり、折れない心を育むためにはどのようなことは重要なのでしょうか。
藤野先生:
自己肯定感という言葉がありますが「わたし/ぼくは、やったらできるんだ」という小さなステップを積み重ねることが大切です。
この自転車はキックバイクから自転車に変えられるため、普通の自転車よりも小さなステップがたくさんあると思います。キックバイクでけっこう簡単に遠くに進めちゃうわけで、まずは「自分はできる」という達成感を子どもが持つことができる。
それをさらに「もうワンステップ進むともっといいことがあるかもしれない」と、ひとつひとつの小さなステップで自己肯定感を高めていくことができます。
――自転車デビューは親子の絆を深めることができるタイミングでもあると思うのですが、そのときのポイントについておしえてください。
藤野先生:
基本的には支えてあげることです。これは信頼感にもつながります。子どもが大きくなったときに、家族が「なにがあっても自分を支えてくれる存在」になることはとても強いです。信頼という結びつきは、やはり子どもの頃の親子の関わり方が大きく影響します。
それから、お母さんやお父さんが褒めてくれるのは子どもにとってはひとつの「報酬」なので、記憶にも残るし、次にもまたその報酬を得ようとがんばるわけです。褒めてもらいながらがんばったらよい結果が得られたという経験がとても大切だと思います。
子どもは小さいとき、大人を見上げて、ある意味「劣等感」を持って生まれてきているともいえます。劣等感を持つこと自体は悪いことではなく、それよりも劣等感を言い訳にしてやらなくなってしまうのがよくない。
僕はよく、しんどくなりやすい大人に「自分のできたことを探してください」というのですが、わざわざ朝起きて会社に行って、帰ってきたらごはんを作っているような人が「なにもできないです」と言うんです。
大人でも自分ができた小さなステップを見落としがちなので、子どもが自分でできるわけがありません。ですので、どんなに小さいことでもいいので、親が「子どもができたこと」に気づいてあげてほしいなと思います。
子どもの自転車デビューについて藤野先生に質問
藤野先生からレジリエンスや自己肯定感について聞いたママたちから、子どもの自転車デビューに関する質問がありました。
恐怖と戦う経験も大切
藤野先生:
恐怖心は子どものこれからの人生においても、生活していく上で出てくるストレスのひとつ。それをすべて消してあげるのがよいこととは限りません。例えば、木は風に当たっているから風をとおしやすい構造になったり、風で折れない太さになるなどの「進化」をしていきます。
ポキっと折れてしまうようなストレスは逃がしてあげた方がよいですが、ある程度の、谷に落とすではないですけど、少しその恐怖に近づく体験や恐怖と戦う体験があってもいいのかなと思います。
それから、積極的に勧めないのは「ご褒美でつること」です。いろんな考え方がありますが、ご褒美でつることによって本来自発的にやろうとしていた気持ちが減ってしまうという研究もあります。
金子さん:
そうなんですね…!気をつけます。
子どもの「言い訳」への対処法
藤野先生:
言い訳をするのは頭が回るともいえると思うので、そういう子には「具体的なメリット」を示してあげるとよいかもしれません。
自転車に乗れるようになったら遠くまで行くことができる、今までは誰かに連れて行ってもらっていた場所にも自分で行けるようになるというメリットですね。そういうのをちょっと具体的に端的に伝えてあげるとよいでしょう。
実際に、身体的活動自体がレジリエンスを高めるという研究もあるので自転車に乗ることも有効と考えられます。自転車はひとりで自分と向き合う作業でもあるので、自分の効力感を高める学びでもあると思います。
山本さん:
なるほど。ありがとうございます。
自転車デビューHow to完全攻略
子どもの自転車デビューでは、細かいステップごとにママやパパが「やったね!」「できたね!」と声かけをしてあげることで、レジリエンスを育みながらスムーズな習得を目指すことが出来ます。
そこで、次の画像の様に自転車デビューのステップは大きく2つ「バランス編」と「自転車編」に分けられるので、子どもの練習や声かけの参考にしてみてはいかがでしょうか。
藤野先生がおっしゃっていた「もうワンステップ進むともっといいことがあるかもしれない」と、子どもの自己肯定感を高めることにもつながりそうです。
「子ども乗り物のプロ」が自転車デビューのために開発!
子どもの「できた!」の瞬間を大切に、笑顔はじける成長の瞬間の安心安全にこだわった運動遊具に90年間寄り添ってきたアイデス株式会社だからこそ開発することができた「ディーバイク マスター プラス」。
子どもの小さな達成感を積み重ねることができ、キックバイクと自転車の1台2役なので、まさに自転車デビューにぴったりです。
一生に一度の自転車デビューで親子の絆を深めてみませんか。
ワンプッシュでキックバイクから自転車に
工具も力も必要なく、ペダルをワンプッシュで取り外しができるので、子どもの気分に合わせてその場でキックバイクと自転車を楽しむことができます。
補助輪もワンタッチ
「ディーバイク マスター プラス」はペダルだけでなく、補助輪もワンタッチで簡単に取り外すことができます。ママのバッグに補助輪を入れておき、必要に応じて取り付けることができるので「今日はやっぱり補助輪がいい」という子どもの気持ちに寄り添うことができます。
ピタッと止まれるVブレーキ
一般的な幼児用自転車のブレーキに比べて、約半分の力で止まれる「Vブレーキ」を採用。止まることができなくて怖い思いをしないので、自転車の練習にも安心です。
子育てに正解はない。子どもの気持ちに寄り添って
――最後に藤野先生に聞きたいのが、自転車デビューの過程では、子どもが諦めてもまたチャレンジするという繰り返しになると思うのですが、親としてどのように関わることができるのでしょうか。
藤野先生:
子育てをしているとつい「○歳になったらこれくらいはできる」「あの子は早く言葉が出てきたのにうちの子は出ない」などと考えてしまいがちですが、子どもの発達には個人差があります。1年くらいの差が出ることもあるでしょう。
いちばんダメなのは、親が焦ってしまうことです。
それよりも、自転車デビューもなんでもそうですが、子どもに「できるようになるメリット」をたくさん伝えてあげて、チャンスを作ってあげることが重要。それぞれの子どものタイミングで、それをやる意味をしっかり伝えて機会を提供してあげてください。
自転車デビューを子どもが一度諦めるときは、ちょっと心が折れているだけ。その幹が太くなるタイミングが必ずあるので、親は焦りすぎず「諦めることも必要な過程」と捉えることが大切だと思います。
「ディーバイク マスター プラス」はキックバイクと自転車の1台2役なので、子どもの気持ちに寄り添い、親子で楽しく自転車デビューを体験することができるのではないでしょうか。
一生に一度の自転車デビューで親子の絆を深めてみませんか。
ディーバイクマスタープラスについては、こちらをクリック
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